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Culture  Hour

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NHKカルチャーアワー
科学と視線「アンチエイジングの科学」

順天堂大学教授 白澤卓二
  聞き書き 田 村 銕 也

第7回「アンチエイジングライフでメタボを撃退」

話に入る前に、「メタボリック・シンドローム(症候群)」とはどういう病気・病態をいうのか確認したい。

 典型的な人として「漫画家」を考えてみる。漫画家はずっと机の上で漫画を書くという仕事、デスクワークだ。ほとんどデスクワークの以外のことはしていない。これがメタボ症候群の典型的なライフスタイルだ。

 一方、メタボ症候群の反対側にいる人はアスリート(運動選手)である。仕事だから運動をして身体を作り、鍛えている。成績を出すために食事もかなり気を付けている。

 

内臓脂肪

 では、メタボリック症候群の本体は何か。CTスキャンで臍の位置で腹を輪切りにして断面をみると、身体の内側ある脂肪の状態が分かる。皮膚の直下にあるのが皮下脂肪で、胃や腸の周りにあるのが内臓脂肪だ。この断面から内臓脂肪の量を計測することが出来る。内臓脂肪の面積が100平方センチメートル以上あるケースを「メタボリック症候群」と呼んでいる。

 メタボ症候群の定義は、内臓脂肪が臍周り断面で100平方センチメートル以上溜まったものといえる。外から見ると、太っているだけでは内臓脂肪か皮下脂肪か分からない。腹周りが太っていても、内臓脂肪が溜まっていない人はメタボ症候群とは言わない。

 

 太った人全員をCTスキャン撮るわけにはいかない。そこで、臍周りが何cm以上あれば「メタボ要注意」という基準を作って、メタボのスクリーニングは腹周りを測ることを取り入れている。男性85cm、女性90cmを基準にすると決まっている。これを決めたのは沢山の人のCTスキャンを撮り、内臓脂肪の面積を計算して100以上ある人と、100以下の人を抽出した。その結果、腹周りが長さが、メタボであるか否かを予測できる値であることから診断基準になったと考えてほしい。

 女性90cmは甘いのではないかとの意見も確かにある。しかし、女性の場合は皮下脂肪型の肥満が多いから85cm以上あっても内臓脂肪がそれほど溜まっていないことが多いことから90cmになっている。

 

 

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